Amazonは人々を不幸にするのか?

タイトルを「不幸にする」と「不幸にするのか?」で少々迷いましたけど、ちょっと責任を逃げて「不幸にするのか?」と柔らかくしてみました。
それでもちょっとドキッとされた人もいるかもしれません。
 
昨日、ヤマト運輸労働基準監督署から是正勧告が行われ、不払いの残業代の支払いが命じられました。
残業代の未払いは電通のような大手はもとより、飲食店では当たり前のようになっていて、今更ニュースにするほどのこともないように思えます。
訴えがなければ動かない労働基準監督署が日々しっかり各企業を回って監督するなり、残業代の未払いがあった場合、罰則金も含めて未払金の10倍とかの支払いにすればいいのに、そこまでは経団連と癒着している政府自民党は絶対にしないんでしょうね。
取り締まりや罰則をしっかりすれば、基本的に犯罪は減っていくはずなんですが…
 
と話しが逸れてしまいましたが、今回、残業代の不払いを訴えたヤマト運輸の元ドライバーによると「Amazonの仕事を請け負うようになってから、体感で荷物が2〜3割増えた」ということです。
それでも人員を増やさなかったために、残業が増えていったと言います。
未払いだけではなく労働時間も基準を大幅に上回っていたのです。
 
実はAmazonの荷物はヤマト運輸だけではなく、郵便局も運んでいます。
しかも郵便局は不良品の引取も行っています。
今のところ人数の多い郵便局ですけど、Amazonとの取引が不採算事業に陥っているのではないかと思える部分が多々あるのです。
そうなると佐川急便が撤退し、ヤマト運輸も人手が足りず、郵便局も採算が怪しいとなれば、どこもAmazonの荷物を運ぶところはなくなってしまうでしょう。
倉庫の中の作業でもアメリカのアマゾンでは死亡事故が起きていたり、待遇が悪いなどの評判が跡を絶ちません。
 
Amazonほどの巨大企業ですから、一度、取引を始めた会社は売上が大きく上がるのでなかなか撤退はしにくいでしょう。
でもこの売上至上主義の考えは昭和の時代のもので、今は利益のほうが重要なはずです。
それが分かりながら売上に飛びつくのは、裏で残業代の未払いや劣悪作業によって利益が生み出されているからに他なりません。
 
出版社もAmazonとの取引は大きいので、定額制なども受け入れざるを無かったのでしょう。
Amazonに限らず、電子書籍の定額制は出版社をどんどん疲弊させていきます。
目の前の売上に目がくらんだ業界から、どんどん不幸になっているような気さえします。
 
Amazonは巨大小売企業なだけに、全国で潰れる書店が増えたり、書店に限らず小売店が倒産したりしています。
ほかのネットショップもAmazon並のサービスが出来ないと、生き残れない時代に入っています。
以前であれば大規模店舗法で近隣の小売店を守ったり、大型店舗の出店に商店街が反対運動をすることもありました。
ですがネットの世界では法律で大型店を縛り付けたり、反対運動を起こすことも難しいのが現実です。
 
サービスを享受している分にはとてもありがたいAmazonですが、一度その内側に関わることがあると、不幸に飲み込まれてしまうような気がします。
保護主義がいいとは限りませんが、あまりに巨大なものには、それなりの規制を行わないと小さいものはどんどん潰れていくでしょう。
世界の富豪62人の総資産が貧困層36億人の総資産と同じなように、一部の巨大企業の経営が劣悪環境の労働者への未払金によって成り立っているなんて構図が出来上がるかもしれません。
そうならないように、今のうちから手を打っておくべきではないでしょうか。

東大による女性限定割引!

東京大学は来年4月の女子入学生を対象に、3万円の家賃補助を行うようです。
志願者、在学者とも20%ほどしかいない女子生徒を増加させることが狙いで、駒場キャンパス周辺に約100室を用意して、長距離通学する女子生徒を援助するということです。
今までも女子生徒の増加に向け、いろいろと試行錯誤を重ねてきたようですが、結果として失敗だったのでしょう。
安全な住まいが無いという保護者の意見を受け、今回の家賃補助が決まったということです。
苦肉の策とはいえ、日本の最高学府の、しかも天下の東京大学の発想力がこの程度なのかと思わざるを得ません。
 
発想としては「女性限定で毎月学費を3万円割引して安全な物件も紹介するんで、ウチの学校に来てください」というものです。
「女性限定で毎月3万円の割引」という部分だけ取り出せば、飲食業や風俗業が売上アップに女性客の集客力を利用している構図と同じように見えます。
もちろん東大の言い分としては「多様な人材による研究や教育力の向上」という大義名分はあるにしても、お粗末な感じが否めません。
 
しかも東京大学といえば、言わずと知れた国立大学です。
国の税金で建てられた大学が女性のみの補助金というのはどうなのでしょう?
人口流出に悩む自治体が「ウチの町では女性のみ毎月3万円の補助金を出しますので、ウチの町に住んでください」というようなもの。
よく国の政治では「補助金のバラ巻き」が問題になりますけど、女性限定のバラ巻きなんてしたら、児童手当や高齢者手当とは比べものにならないような問題になりそうです。
 
もちろん地方から東京の大学に通うために一人暮らしをする女性は、住むところを探すのが大変だということは分かります。
安全性と利便性と経済性を考え、男性以上に慎重に物件選びをすることでしょう。
でもこれは東京大学に限ったことではなく、他の東京にある大学でも同じことです。
女性比率の増加を目的にするならば、原因が別にあることは承知しているはずです。
それなのに女性限定の補助金という安易な方法をとるところが、世界大学ランキングでトップ10に入れないどころか、アジアでも4位でしかない東大の実力なんでしょうね。
女性に訴えることのできる大学の魅力をお金で買うようになってしまっては、学問の何たるかを教える資格すら危ういように思えます。
 
果たしてこれで女子生徒の獲得につながるのか。
一時的な増加ではなく永続的な効果を、もっと真剣に考えてもらいたいものです。

早くもトランプ氏の戦略か?

中国の習主席との電話会談があったのか、なかったのか。
トランプ氏と習主席の間で、まったく異なる発言が出ています。
中国中央テレビ局によれば習主席が電話で祝意を伝えたと報道しています。
ですがウォールストリート・ジャーナルはトランプ氏は習主席以外の外国指導者と電話で話し合ったと伝え、トランプ氏陣営の報道担当者もそれを認めています。
 
どちらかがウソをついているのか。
それともどこかに行き違いがあったのか。
 
敵対関係の国ではないのですから、習主席からトランプ氏に祝意の電話があったのは、まず間違いないでしょう。
形式上とはいえ、それくらいの礼儀はどの国でも行っているのですから、それを中国がしないとは考えにくいことです。
 
そうなると習主席が直接電話したのではなく、側近が祝意を伝えたため「習主席以外」となったのかもしれません。
または直接の電話がつながらず、トランプ氏陣営の誰かに伝えたものが、トランプ氏まで届いていなかった可能性もあります。
選挙後の混乱の中ですから、まったく無いとは言えません。
それともウォールストリート・ジャーナルの取材の後に習主席から電話があったため、ライムラグによる行き違いかもしれません。
どれにせよ、こういう行き違いれあれば、大きな問題にもならないでしょう。
 
ただトランプ氏の戦略だとすると、かなり恐ろしい気がします。
例えば直接の電話がありながら、電話が無かったと報道させ、中国の出方を見ている可能性です。
中国はメンツというものを大変に重んじる国です。
電話で直接祝意を伝えたにも関わらず、中国の習主席とだけは電話会談をしていないと言われれば、メンツを潰されたと思うのが当然でしょう。
そこで習主席がどういうリアクションをするかを見てから、ウォールストリート・ジャーナルの誤報だとしてしまえば、トランプ氏は舌を出しながら謝罪しても良いわけです。
それに対して中国がさらに文句を言おうものなら、狭量の国だとして今後邪険に扱っても国内的には大きな問題にならないでしょう。
むしろ中国に大幅な関税をかけるいい雰囲気が国内に出来上がるというものです。
 
ただ今回のことは小手調べでしょうから、習主席の次の発言を待って、トランプ氏が早々に謝罪することも考えられます。
何しろ習主席も百戦錬磨の強者ですから、下手な対応はしないでしょう。
お互い相手の手の内を読み合っている段階ですから、いきなり本戦を始めることは無いと思います。
 
何にしろ、あれだけオバマ大統領の政策を批難してきたトランプ氏が、引き継ぎの段取りになった瞬間に態度を180度変えたのです。
目的のためには手段を選ばず、自身の主張も曲げることができる人物なのでしょう。
安倍総理ごときでは太刀打ち出来ないほどの人物なのかもしれません。
日本に有利なように見える条約が実はアメリカ優位な条約だった。なんてことが無いように官僚の人たちには頑張ってほしいものです。
 

トランプ大統領は堀江貴文総理大臣と同じ?

私もちゃんと理解をしていないので、完全に推測憶測であることを前もってお伝えしておきます。
 
どうしてアメリカ人は次期大統領に決まったトランプ氏をこうまで嫌うのでしょう?
アメリカでは抗議デモが頻発していますし、日本にいるアメリカ人タレントもことごとく「こんな人を大統領にしてしまった」と恥じています。
 
なぜだろうと考えたとき、日本であれば誰が総理大臣になった感覚なのか?と考えてみました。
そのとき最初に浮かんだのが堀江貴文ホリエモン)氏でした。
 
堀江氏が2005年の衆議院選で立候補したのはご存知かと思いますが、そのとき落選しないで総理大臣にまでなってしまったら、今のトランプ氏と同じ状況になったのかもしれません。
 
堀江氏はライブドアを一代で大きくした経営者です。
トランプ氏も父親の不動産会社を引き継いだとはいえ、多角経営に乗り出し、不動産王と呼ばれるほどに大きくした人です。
女性問題でも堀江氏は「女性は金で買える」と誤報ともとれるスキャンダルが一時期問題になりました。実際には「お金に余裕ができれば女性に対しても自信が持てるでしょ」ということですが、今なお勘違いしている人はいるでしょう。
トランプ氏の場合はただのスケベ親父の軽口ですが、日本の職場で話せばセクハラと言われる類のものばかりです。それをどこまで問題にするかは、セクハラと同様、受け取り側次第というところです。
 
またどちらもメディアに出るのが大好きです。
本当に好きかはわかりませんが、ただの経営者ではなくメディアに積極的に取り上げられ、また自らもメディアの前で話しをすることが多くあります。
しかもそのときに本心はともかく過激な発言で注目を集める点でも似ています。
それによってファンとアンチがハッキリ分かれていることも、共通しているところです。
 
だからもし堀江氏がいきなり日本の総理大臣になったりしたら、日本でも今のアメリカと同じようなことが起きたかもしれません。
 
今の日本人の国民性から抗議デモが起きることは少ないでしょうが、政治家や識者と呼ばれる人たちは一斉に反対の立場を表明するでしょう。
政治家は「あんな奴に政治ができるわけがない」といい、識者は今までの経営の仕方から「あんな奴に国を任せてはいけない」と言い始めるはずです。
ですが一部の人たち(日本では一部のネット民)は「意外に面白いことをやってくれるんじゃないか」「今までの政治家よりはマシだろう」と、結構気軽に受け入れる人も多いのではないでしょうか。
マイナビが行った「大学生が選ぶ、総理大臣になってほしい芸能人・有名人」ではビートたけし氏、太田光氏などの名前が出ています。
もちろん半分は無責任なおふざけですけど、実際に総理大臣になったら、結構上手く立ち回ってくれるかもしれません。
これが芸能人ではなく、会社を経営して成功した経験のある人であれば、「結構上手く」が「なかなか上手く」に変わるかもしれません。
 
今の国際政治は武力紛争よりも経済紛争のほうが重要な位置を占めています。
昔のように武力で他国に侵略しても国が豊かになることはありません。
多少の賠償金や資源が手に入ったところで、経済制裁を受ければ国は困窮していきます。
それよりは為替相場や経済協力、法人税自由貿易など、いろいろな手段を使って自国を豊かにすることが政治家の使命でしょう。
そのとき親の地盤、看板、カバンを引き継いだ政治家に何ができるか?
むしろ成功した経営者のほうがいいんじゃないか?
 
今の政治に求められているのは、国という企業をいかに黒字化して国民(や企業)という社員に賃金を支払うかです。
賃金や待遇が悪ければ他の国に行ってしまうでしょうし、人が集まることもありません。
橋下元大阪府知事が大阪職員に「破産会社の従業員」と言ったのは痛烈でありながら、これからの流れでもあったように思えます。
 
失敗しても変化を求める人と変化を嫌う人。
アメリカでは否応なく経営者大統領が次の時代を作ることなりました。
不安になっている人が多いようですけど、私は日本こそ二世(または三世)政治家に乗っ取られたままでは時代に乗り遅れるではないでしょうか。

安倍首相とトランプ氏の直接会談決定

日本の危機管理もまだまだ捨てたものではないようです。
新大統領への祝辞のあと、早速安倍首相自らトランプ氏と電話会談。
その中で17日にニューヨークで直接会談を行う方向で調整に入ったようです。
 
今回は日本政府や官僚も相当に慌てたのか、かなり迅速で最大限の対応をしていることが伺えます。
 
私はせいぜい元首相クラスの政治家がトランプ氏に早い段階で接触すると思っていました。
そうして地ならしをしたあと、新大統領になってから首脳会談というのが日本政府の精一杯かなと…
ですけど今回は「ヤバイ」という考えが一気に広まったようで、大統領就任前に、それもまだ政治家でもない人間と一国の首相が出向いて会談を行うなど、異例な事態と言えます。
 
とは言え、これくらいの対応が必要であり、トランプ氏の性格を読み解くと、できるだけ早めに懐に入ってしまうことが肝要です。
できることなら性格が似ていそうな小泉純一郎氏にご登場願いたいくらいです。
 
ただ今回の異例な対応が日本の総理大臣という肩書に傷をつけないかだけは心配です。
今はただのアメリカ国民に過ぎないトランプ氏に日本の首相が会いに行くわけですから、周りからは「日本の首相も地に落ちた」と思われるかもしれません。
それくらいの覚悟を持っていく準備ができていれば、何の問題もないのですが…
 
もっとも“お高く留まった政治家”の顔を脱ぎ捨てて、田中角栄氏や小泉純一郎氏のようにフランクに初めて会った人と話ができる人間力を安倍首相が持っていれば、問題はないでしょう。
作り笑顔で地元のおばちゃんと握手をしているようでは、まだ一般市民のトランプ氏にやり込められ(一国の首相が負けて)引きつった顔で帰ってくることにもなりかねませんが…

最悪の米国大統領選挙はトランプ氏勝利

アメリカ国民は賢い選択をしたのでしょうか?
答えはYESでしょう。
 
問題発言と過去の問題行動が繰り返されるトランプ氏と、私用メール問題で危機管理能力が問われるヒラリー女史。
史上最悪の米国大統領選挙と言われた今回の戦いは、トランプ氏の当選が確実となりました。
アメリカ国民は核のボタンを預かる人間として、ヒラリー女史にNOを突きつけたということです。
決してトランプ氏にYESと言ったわけではないことは忘れてはいけません。
 
今回の大統領選挙は政策論争はほとんどなく、トランプ氏が大統領になって何をするのかがよくわかりません。
アメリカ軍の駐留費用負担を各国に増額要求するのか。
メキシコとの国境に壁を築くのか。
冗談とも本気とも付かない発言の数々は、その実効性も問題点もわからないままです。
内政主体の政府になるだろうとは思われても、国内景気のために諸外国に積極的な働きかけをすることも考えられます。
 
結局、何をするかわからない大統領が誕生するということだけが確定したということでしょう。
 
それでも私は今回の選挙結果に対して、アメリカ国民は正しい選択をしたと思っています。
 
まず王族のように続いたブッシュ家、クリントン家の大統領がオバマ大統領に続いて止まった点。
これでもうこの両家から大統領が出てくることは当分の間無いでしょう。
 
次に女性大統領誕生へのガラスの天井が取り払われた点。
今回、女性大統領は誕生していませんが、女性でも大統領になれることは示されました。
ヒラリー女史が大統領になれなかったのは女性だからではなく、本人の資質の問題だと誰もがわかったはずです。
 
また立場が人を作るという点。
トランプ氏は経済界の成功者であって、政治経験はありません。
だから問題発言が続き、過去の問題行動が取り沙汰されたのです。
政治家であればうまく立ち振る舞ったり、隠蔽することも出来たでしょう。
でもこれから大統領になるにあたって、事業を成功させた才能は発揮されるでしょうし、政治家的な振る舞いも学んでくるはずです。
そうなると行動力がある分、歴史に名を残すような大統領になる可能性もあります。
 
今後、日本の政治家や官僚、それに無能なマスコミは、トランプ氏が最初に訪れる外国について気を揉み始めるでしょう。
順当にイギリスが最初で、アジアの最初が日本などとは思わないことです。
それに最初だから重要などという短絡的な考えは、すでに思考が停止しています。
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国のあとに日本を訪問した時のことを思い出してください。
 
トランプ氏のことですから自分を支持してくれたロシアや、移民問題を抱えるメキシコを最初の訪問国に選ぶかもしれません。
日本としてはまったく接点のないトランプ氏ですから、大統領になる前に重要な政治家を送り込むくらいはした方がいいでしょう。
いやむしろ政治家よりも経済界の人間を会わせたほうがいいかもしれません。
 
血筋やコネ、雄弁で成り立つ政治が終わり、行動力が必要な政治が始まったのかもしれません。
明治維新のときに有能な志士が多く現れたように、世界が大きく動く前兆が今日だったのでしょう。
はたして日本にもそのような政治家が現れるのでしょうか。
現れなければこの国はますます取り残されるのかもしれません。
 

「逃げるは恥だが役に立つ」は現代の雇用契約への問題提起

TBSで放送中の「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマがすごい人気です。
主演のガッキーこと新垣結衣さんの可愛らしい好演や恋ダンスもさることながら、脇を固める人たちも芸達者で見ていて飽きがきません。
原作は無料の1巻だけしか読んでいないですけど、ドラマの雰囲気そのままという感じです。
 
でもドラマではただの恋愛ドラマではない隠れたテーマがあるようです。
それは今の雇用契約や働き方への皮肉です。
 
まずこのドラマは主人公のみくりが派遣切りされるところから始まります。
女性だから洗い物やお茶汲みをさせられ、それでも嫌な顔をせず、仕事は出来るほう。
でも契約終了と同時に更新をされずにクビになる。
そのときの会社の人間の言葉が「君は優秀なんだし…」というのは、クビを切るほうが罪悪感を持たないための言い訳の定番です。
 
これが今の会社のやり方であり、若者が定職につけない理由でもあると思います。
優秀であっても仕事には恵まれない。
この状況が続いているから日本の景気は悪くなるばかりなのでしょう。
ちなみにみくりの雇用主である平匡も、今の会社では仕事のできる優秀な社員なのに、前の会社はブラック企業で能力を発揮できなかったようです。
 
そんな二人が契約結婚をして築き上げていくのが、理想の雇用関係だといえます。
初めに雇用契約をハッキリさせて、問題が起きたらその都度話し合いというのは理想的です。
みくりの言葉に「お互いの役割をキチンとしていれば、あとは自由なんです」というのも、仕事時間とプライベートをキチンと分けた理想の職場と言えるでしょう。
平匡の言葉に「時間外手当」というのが頻繁に出てくるのも、そのときに相手の了解を得るというのも理想的です。
仕事が終わらなければ残業してでも終わらせるのが当たり前と思っている経営者や、サービス残業をさせるなど以てのほかなのです。
 
他にも月の家計をオーバーしてしまったみくりが、赤字分を自分で補填しようとしたときに平匡が「それではブラック企業です」と言い切ったのも、当たり前ですけど、現実ではそういう会社は少ないでしょう。
掛売の取引先が飛んだとき担当営業マンが補填させられたり、減給や降格させられるのは半ば当たり前なのに、違法と思っていない社会って変ですよね。
業務中でも会社の備品を壊したら全額弁償とか、普通と思っている時点で、ホントはかなりマズいはずなんですけど…
 
法律順守でしかないみくりと平匡の雇用関係が理想的に写る。
それが今の日本なんです。
それがわかっているから視聴者は憧れをもって見ているのでしょう。
 
「働きやすい環境を作るのも雇用主の仕事ですから」
「許可を出したのは私ですから」
 
こんな事を言ってくれる経営者がどれだけいるんでしょう。
 
一方、平匡の務める会社は現実社会の良い企業です。
フレックスタイム制で給料も悪く無いし、雰囲気もいい。
けれど一週間以上の泊まりがけの残業なんてこともある。
それでもやはり現実にはこんな会社も少数派で、一歩間違えれば電通と同じにだってなりかねない。
なにしろフレックスタイム制でも強制的に無理な残業はさせてはいけないですから。。。
 
こんな理想の雇用関係を羨ましく見る。見させるのが「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマなんだと思います。
そして「法律さえ守れば理想の会社」というのは、いかに現実の会社という社会が無法地帯で治外法権化された場所なのかということでもあるわけです。
 
それにしても今のドラマは理想の恋愛より理想の雇用がウケる時代なんですね。
それだけ疲弊した従業員や若者が多いということでしょう。