早くもトランプ氏の戦略か?

中国の習主席との電話会談があったのか、なかったのか。
トランプ氏と習主席の間で、まったく異なる発言が出ています。
中国中央テレビ局によれば習主席が電話で祝意を伝えたと報道しています。
ですがウォールストリート・ジャーナルはトランプ氏は習主席以外の外国指導者と電話で話し合ったと伝え、トランプ氏陣営の報道担当者もそれを認めています。
 
どちらかがウソをついているのか。
それともどこかに行き違いがあったのか。
 
敵対関係の国ではないのですから、習主席からトランプ氏に祝意の電話があったのは、まず間違いないでしょう。
形式上とはいえ、それくらいの礼儀はどの国でも行っているのですから、それを中国がしないとは考えにくいことです。
 
そうなると習主席が直接電話したのではなく、側近が祝意を伝えたため「習主席以外」となったのかもしれません。
または直接の電話がつながらず、トランプ氏陣営の誰かに伝えたものが、トランプ氏まで届いていなかった可能性もあります。
選挙後の混乱の中ですから、まったく無いとは言えません。
それともウォールストリート・ジャーナルの取材の後に習主席から電話があったため、ライムラグによる行き違いかもしれません。
どれにせよ、こういう行き違いれあれば、大きな問題にもならないでしょう。
 
ただトランプ氏の戦略だとすると、かなり恐ろしい気がします。
例えば直接の電話がありながら、電話が無かったと報道させ、中国の出方を見ている可能性です。
中国はメンツというものを大変に重んじる国です。
電話で直接祝意を伝えたにも関わらず、中国の習主席とだけは電話会談をしていないと言われれば、メンツを潰されたと思うのが当然でしょう。
そこで習主席がどういうリアクションをするかを見てから、ウォールストリート・ジャーナルの誤報だとしてしまえば、トランプ氏は舌を出しながら謝罪しても良いわけです。
それに対して中国がさらに文句を言おうものなら、狭量の国だとして今後邪険に扱っても国内的には大きな問題にならないでしょう。
むしろ中国に大幅な関税をかけるいい雰囲気が国内に出来上がるというものです。
 
ただ今回のことは小手調べでしょうから、習主席の次の発言を待って、トランプ氏が早々に謝罪することも考えられます。
何しろ習主席も百戦錬磨の強者ですから、下手な対応はしないでしょう。
お互い相手の手の内を読み合っている段階ですから、いきなり本戦を始めることは無いと思います。
 
何にしろ、あれだけオバマ大統領の政策を批難してきたトランプ氏が、引き継ぎの段取りになった瞬間に態度を180度変えたのです。
目的のためには手段を選ばず、自身の主張も曲げることができる人物なのでしょう。
安倍総理ごときでは太刀打ち出来ないほどの人物なのかもしれません。
日本に有利なように見える条約が実はアメリカ優位な条約だった。なんてことが無いように官僚の人たちには頑張ってほしいものです。